最適なグラベルバイクの選び方:決定版購入ガイド
新しいグラベルバイクを選ぶのは、岩がゴツゴツした道を走るのと同じくらい難しいものです。この購入ガイドでは、Canyonの各オプションの得意なところと苦手なところを一緒にご紹介します。


グラベルバイクを購入する理由は乗る場所の地形などによって人それぞれ違うので、どのバイクを選ぶか決めるのは激坂のワインディングロードを走るのと同じくらい難しく感じられるかもしれません。しかし実は、必ずしもそういうわけではありません。どんな理由でどのグラベルバイクを選べばよいかを、こちらのグラベルバイク・バイヤーズガイドでご紹介します。
目次
グラベルバイクとは?
ロードバイクとマウンテンバイクの間に子供が生まれたとすると、きっとそれはグラベルバイクになるでしょう。幅広のタイヤ、長いホイールベース、リラックス気味のジオメトリーが特徴の堅牢なバイクで、アスファルトからダート、グラベルといった幅広い路面の道を楽に走ることができます。グラベルバイクは多用途に使える設計となっていて、オンロードでは高速性能に優れている一方、オフロードの冒険で必要となる耐久性と安定性も兼ね備えています。グラベルの道を駆け抜けるときでも、ラフなトレイルを探索するときでも、グラベルバイクなら快適性や速さに妥協せずさまざまな道に対応することができます。
グラベルバイクを選ぶ理由
グラベルライドはこの10年ちょっとの間にバイク業界の中でも最も注目される分野のひとつとなりました。森の中や山の上へと続く人里離れた静かなグラベルの道を発見すると、「この道の果てまで行ってみたいなあ」というような考えが浮かんできて、心が踊ります。""
車ですぐに行ける範囲でグラベルレースが開催されているかもしれませんし、森を抜ける道を仲間と探索してみたり、数え切れないほどあるグラベルの脇道を巡ってみたりと、楽しみ方は無限です。また、グラベルバイクは一般に市販されているバイクの中で最も汎用性が高く、どんな地形でも走りこなすことができます。
グラベルバイクの種類とライディングスタイル
一般的に、グラベルバイクは快適性、汎用性、頑丈さが特徴で、Canyonはライダーが楽しみたいスタイルや最も頻繁に使う用途に応じて複数のオプションをご用意しています。
高性能グラベルバイクの選び方
GrailはCanyonがグラベルレースに向けて開発したバイクです。超ワイドタイヤを履ける類似モデルと比べるとタイヤクリアランスは控えめですが、軽量で速く走るための設計となっていて、広く開けたグラベルコースで風を切り裂くように空力性能を意識したチューブ形状となっています。また、集団走行に向けてハンドリングはクイックで、路上の障害物を避けやすくなっています。
何にでも使えるバイクがほしいなら、Grailは悪くありません。無骨なタイヤをオンロード用のスリックタイヤに交換すると、普段はGrailをロードバイクとして使うことができます。しかしスムーズな路面では、オンロード専用のEnduraceやUltimateの完璧に特化されたフィーリングにはちょっとかないません。
厳密にはグラベルバイクとは違いますが、高速で機敏に動くシクロクロスバイクのInfliteも、シクロクロスだけでなくグラベルレースも走ってみたいライダーに適したバイクです。
バイクパッキング用グラベルバイクの選び方
Grizlはバイクパッキングやアドベンチャーライドに向けたバイクです。戦車のような頑丈な作りで、バッグを取り付けるためのマウントポイントが複数あり、テントや寝袋といったバイクパッキング用のギアを積み込めます。Grizlは舗装路でも十分な性能がありますが、砂利や岩、砂のトレイルでその本領を発揮します。
Grizlには豊富なオプションがそろっています。比較的安価なアルミフレームモデルと、軽くて快適性にも優れる高性能のカーボンモデルがあります。フォークはリジッドと30mmトラベルのサスペンションを選べます。コンポーネントにはShimanoとSRAMがあります。どのオプションを選んでも、冒険に出かけたくなるバイクに仕上がります。
シングルトラックをメインに走る過酷なバイクパッキングなら、CanyonのハードテールMTB、Exceedがよい相棒となるでしょう。
電動アシストグラベルバイクの選び方
E-バイクのパワーアシストがほしいなら、Grizl:ONflyが最有力候補になるでしょう。厳しい上り坂でBosch Performance Lineモーターがライダーの力を増幅してくれるので、アシストがない場合と比べるとはるかに速く走れます。このモデルは、現在市販されているオフロード対応E-バイクの中でトップレベルの軽さが自慢です。また、一体型ライトと盗難防止機能を備え、Bosch ConnectModuleとFlowアプリからスマートナビゲーションやフィットネス機能を使うこともできます。
Canyonのグラベルバイクモデル:あなたに最適なモデルを
自分に適した種類のグラベルバイクは決まりましたか?
それでは、自分の用途に合ったモデルを選びましょう。Canyonの各モデルの名前は規則的に付けられているため、選びやすくなっています。
バイクの製品ページをいくつか見てみると、Canyonのグラベルバイクの名前の付け方にパターンがあることがわかります。2つ例を挙げてみると、「Grail CF SLX 8 Di2」や「Grizl 5」といった感じです。
この名前がバイクの特徴をすべて表しています。
Canyonのグラベルバイクの名前に付いている数字の意味は?
簡単に言うと、名前の番号が大きいほど上位グレードのコンポーネントを搭載しています。
Canyonのグラベルバイクのうち最も安価なモデルでも、標準的な現行バイクコンポーネントは信頼性と耐久性の面で十分な性能があるので、心配は不要です。Grizl 5であっても、グラベルバイクのメンテナンスやケアを十分に行えば、地球上のあらゆる場所を駆け巡ることができる性能があります。
しかし、番号が大きいバイクになるほど高品質コンポーネントを装備していて、重量が大幅に軽くて使い心地もよく、より快適に乗ることができます。ライドを重ねるたびにこの違いが大きく感じられるようになります。
上位モデルのようにアップグレードする例としては、電動変速システム、カーボンホイール、高性能タイヤに換装するという方法があります。これらはすべてフィーリングがよく、こういったパーツにアップグレードすると速さや快適性が間違いなく大幅にアップします。なお、標準装備のコンポーネントは壮大なライドに挑む場合にも十分に機能し、ご満足いただける性能となっています。
Canyonのモデル名のCFR/CF SLX/CF SLといった記号の意味
ほとんどの場合、これはフレーム素材を表しています。CFRという名前が付いたバイクは世界最高のカーボン素材を使用。CF SLXはハイエンドの高品質カーボン、CF SLは高品質カーボンを使用しています。もちろん、ハイエンドモデルに近いほど搭載コンポーネントも全般的にハイスペックとなっています。
名称 | 説明 |
---|---|
CFR | プロが選ぶ機材:CFRの名を冠するバイクは、Canyonが製造するバイクの中でも頂点に位置するものです。プロがレースに使用し、最高グレードのカーボン素材で製造され、市販されている最高グレードのパーツを装備したバイクとなっています。 |
CF SLX | 完璧を目指した技術力:CF SLXは、チャンピオンと同レベルのパフォーマンスを少し抑えめの価格帯で提供する、トップアマチュア選手向けのモデルです。超軽量カーボンフレームは同一シリーズのCFRモデルよりはわずかに重いものの、世界をリードするメーカーのハイエンドコンポーネントを搭載しています。 |
CF SL | 汎用性が高いカーボンフレーム:CF SLバイクは、カーボン素材に関するノウハウを結集して熟練した設計者が作り上げたカーボンバイクの中で、最もお求めやすい価格帯となっています。通常、このモデルのフレームジオメトリーはハイエンドのCFRやCF SLXと同じで、カーボン素材の品質がわずかに低く、ミドルクラスのコンポーネントを搭載しています。 |
AL | お手頃価格で耐久性に優れる:上記のような名前が付いていないバイクは、アルミフレームのバイクです。通常、アルミバイクはバイクシリーズの中で最もお手頃な価格帯となっています。カーボンフレームモデルと比べると高級感やエレガントさ、軽さの面では少し劣るものの、物理的な力を受けた際に強く、落としたり取り扱いが雑だったりしても破損しにくいという特長があります。 |

グラベルバイク購入時に考慮すべきこと
グラベルバイクを購入するときには、ここで紹介するような重要な要素について検討しましょう。適切なセットアップに仕上げると、森の中のスムーズな道から岩がちな荒れたトレイルまで、どんな路面でも走りが大きく変わります。ホイール、タイヤ、サスペンション、ギア、ドライブトレイン、重量、ハンドリング特性といった主要要素がすべて、オンロードでもオフロードでも、バイクのパフォーマンスやフィーリングの差につながります。
グラベルライドに最適なタイヤとホイール
ホイールとタイヤがグラベルバイクで重要なコンポーネントとなることには、あまり異論はないでしょう。路面とバイクをつなぐポイントであり、スピードと快適性の両方に大きく影響します。
グラベルバイクはワイドなホイールやタイヤを装着するクリアランスを確保するため、フォークの幅が広くなっています。また、一般的にオンロードでの走行効率とオフロードでのグリップ力のバランスが最適となる40~50mm幅のタイヤを装着することが多くなっています。Grailは標準で40mm幅のタイヤを装着していて、最大45mmのタイヤを履けるクリアランスがあります。もっと荒れた路面に対応するGrizlは出荷時に45mm幅のタイヤを履いていて、さらに最大50mmのタイヤまで使えるのでほとんどどんな道でも走れます。
チューブレスタイヤにするのもいいかもしれません。グラベルライドでは未舗装路を走るので、鋭い岩を踏んでチューブに穴が空きパンクすることがよくあります。自宅でタイヤを装着するときにはちょっと時間がかかりますが、トレイルで不運に見舞われて時間をロスすることは少なくなります。新しいCanyonバイクを購入するときには、チューブレス仕様にするために必要なチューブレスキットとアクセサリーも一緒にクリックしましょう。
グラベルバイクにサスペンションは必要?
サスペンションが必要か否かは、走る場所や走り方によって決まります。木の根や大きな岩がほとんどないスムーズなグラベルで乗ることが多い場合は、カーボンフォークとカーボンシートポストで十分な快適性が得られます。このような路面でサスペンションフォークを装備しても、余分な重量が増えバイクが扱いづらくなります。しかし、シングルトラックや過酷な路面に挑戦したい場合は、サスペンションフォークがあったほうがいいでしょう。Grizl CF SLX 8 AXS Trailは30mmトラベルのRockShox Rudy Ultimateサスペンションフォークを装備していて、凸凹の道をスムーズに走り、小さな障害物なら乗り越えることができます。
グラベルバイクのギアとドライブトレイン
グラベルバイクはほとんどがフロントシングルとフロントダブルのどちらかの構成になります。オンロードを走ることが多い場合やスピードを重視する場合は、フロントダブルのドライブトレインが向いています。フロントダブルだとギア間のギャップが小さいので、変速時に空転したりノイズが鳴ったりといったことがありません。
一方で、岩がちな道や滑りやすい路面でいきなりケイデンスが大きく変化するような場合は、フロントシングルのほうが適しています。前側のギアであるチェーンリングが1枚しかなく、オフロードライドで余裕のあるギアレンジが得られるように後ろ側のギアであるスプロケットが大きくなっています。ワイドレンジギアはギア間のギャップが大きく、シフトアップやシフトダウンしたときにギア比が大きく変わります。
フロントシングルのドライブトレインはシンプルさとメンテナンス性のよさが特長です。チェーンリングが1枚だけだと問題の発生源が1つ減るため、人里離れた場所に行くときには有利です。チェーンテンションを保つため、フロントシングルのドライブトレインはほとんどがリアディレーラーにクラッチを装備しています。テクニカルなトレイルを駆け抜けるときにチェーンが暴れても、チェーン脱落の心配がありません。
Shimanoのグラベル専用グループセットであるGRXにはフロントシングルとフロントダブルの両方があり、SRAMのグラベルコンポーネントのXPLRはフロントシングルのみとなっています。どれだけのギヤレシオを求めるかにもよりますが、1x構成では、11-42または11-40のカセットと40または42Tのチェーンリングがペアになっていることが多いでしょう。2x構成では、48Tと31Tのチェーンリングに11-34のスプロケット(GrailとGrizlのほとんどのモデルで標準)を装着するのが一般的です(最適なオプションを選ぶ方法についてはグラベルバイク・ギアガイドをお読みください)。
グラベルを冒険するためのアクセサリーとマウントオプション
グラベルバイクで世界各地を旅してみたいなら、ある程度のギアが必要となるでしょう。
Grail専用に作られたCanyon LOAD FidLock Quickloaderバイクパッキングバッグは、特殊なクリップシステムを採用し、一瞬で脱着できるようになっています。このバッグはフレームと相性がいいだけでなく、バイクの空力性能が向上する効果もあります。ライドに向けて万全の準備を整えるなら、ダウンチューブ内蔵用ツールパック、追加バッグ、ボトルケージなどのGrail専用設計アクセサリーを装備しましょう。
Grizlはフレームとフォークに複数のマウントポイントが設置されていて(フォークマウントはリジッドフォークモデルに限る)、バイクパッキングバッグやギアを取り付けることができます。これらの装備は冒険のために作られていて、長距離ライドや何日にもわたる旅で求められる使い方に柔軟に対応します。

グラベルバイクのサイズの選び方
新しいグラベルバイクを注文する前に、Canyonバイクのサイズを確認する必要があります。身長と、サイクリングショーツを履いた状態での股下の長さを測定します。
フィッティングにはスタックとリーチが影響するため、バイクごとに少なくとも多少は感覚が異なります。スタックとはボトムブラケット中心からヘッドチューブ上端までの垂直方向の高さで、リーチとはボトムブラケット中心からヘッドチューブまでの水平方向の長さです。リーチが長いと体が伸びるようなフォームになり、手の位置が前側に遠くなります。スタックが高いとアップライトなライディングポジションになります。
GrizlとGrailは、同じMサイズどうしを比較しても、スタックとリーチが違うのでフィーリングが異なります。どちらのモデルを選んだとしても、現在乗っているロードバイクやマウンテンバイクとはフィッティングやフィーリングが違っているでしょう。
自分のライディングスタイルにジャストフィットするバイクを選べるように、Canyonのパーフェクトポジショニングシステム(PPS)についてご確認ください。
自分のニーズにベストマッチなグラベルバイクを選ぶ
オプションはどのように選びましたか?レースとバイクパッキングの両方に挑戦したい方は特に大変だったことでしょう。バイク選びの中でいちばん難しいところかもしれません。GrizlとGrailの両方を手に入れてしまえば簡単ですが、予算にもバイクの置き場所にも限りがあるので、何台も増やすわけにはいかないでしょう。
真剣にレースに取り組む方はGrailを選ぶのがいいでしょう。地域のシリーズ戦などで活躍できるほか、バイクパッキングの旅に出たときでもハイレベルなライダーたちと同じような走りができるでしょう。GrailはマウントポイントがGrizlほどは充実していませんが、多種多様なサードパーティのアクセサリーを探してみると、荷物を積み込んで週末にバイクでの旅を楽しむのは難しくありません。
新しい道やトレイルを探索するのがメインで、たまにレースにも出てみたいというライダーは、Grizlが最適です。Grailと比べると少し重いですが、レースの1か月前から甘いものやビールを控えればそのハンディは気にならないでしょう (もちろん、楽しむことを重視するなら好きなように食べても飲んでもOKです!)。Grizlのハンドリングはあまり機敏ではありませんが、油断なくスマートに乗れば問題はありません。
ライドは大好きだけど厳しい丘や山でちょっと助けてほしいという方は、Grizl:ONflyを選ぶことをおすすめします。電動アシストバイクとしては驚くほど軽量で、最大トルク55Nmの強力なBoschモーターと400Whのバッテリーを搭載し、林道が続く限りどこまでも走っていくことができます。

グラベルバイク
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