ボッタスがモータースポーツ界最速のレースマシンに乗っていないとき、彼はグラベルバイクで速く走ることに全力で取り組んでいます。"速く走ることに全力"であるというのは、実績を見ると決して過言ではありません。フィンランド出身の彼は自転車選手としても広く知られていて、SBT GravelとBelgium Waffle Rideでは表彰台に乗り、2024年のUCIグラベル世界選手権では中段集団でフィニッシュするという活躍を見せています。世界選手権はかなりの実力がないと出場することすらできません。
グラベルライドを始めたきっかけは?
F1レースは非常に過酷です。時速300kmを超えるマシンをサーキットで走らせているときは、戦闘機パイロットが受けるようなGと常に戦っています。これにはかなりのスタミナが必要なので、F1ドライバーは全員が多くの時間をトレーニングに費やしています。
実際のところ、トレーニングやフィットネスとドライビングの比率は90:10といったところでしょうか。以前はそれほど自転車には乗らず、主にランニングをやっていました。しかしパートナー(Canyon//SRAMチームのグラベル選手ティファニー・クロムウェル)に出会ってからグラベルライドの時間が大幅に増えました。そして、すっかりハマったのです。もちろんF1で走ることが最優先ですが、サイクリングはそれに近いくらい大切な、2番目に優先するものとなりました。
F1とグラベルレースの似ているところは?
F1とサイクリングは競技特性が大きく違い、求められるスキルも違います。F1では非常に高いスキルが必要で、サーキットによっては肉体的な負担もかなりのものです。F1レースは最長で2時間にも及ぶため、高い有酸素運動能力や持久力が必要です。
自転車ではつらさを感じるのは主に脚で、肺への負担も大きく息をするのが大変です。F1では、レースを走っている間ずっと体全体の痛みに耐えています。コーナーごとに強いGに襲われ、全身に負荷がかかって、特に首が大変です。サイクリングはとてもよいトレーニングになるので、そこが気に入っています。
サイクリングとF1は互いに補い合う関係なのですか?
もちろん。サイクリングでは有酸素能力を鍛えることができ、同時にストレス発散にもなります。ストレスが溜まっているときに頭をすっきりさせるのにとても良くて、探検を楽しむこともできます。また、カーレース以外の方法で自分を追い込む機会を得ることもできます。車のレースがなくて物足りないときには自転車のレースに出ます。どちらもかなり似たような感覚なのです。自転車では時速350kmを出すことはできないし、アドレナリンがあふれるような興奮はF1ほどではないかもしれませんが、自分を追い込むという点についてはきわめて近いものを感じます。
いちばん楽しいと思うバイクライドはどんなライドですか?
自分は新しい場所に行くのがいちばん楽しいですね。探検するのが大好きなんです。フィンランドでもアメリカでも、世界各地でバイクライドを楽しみたいと思っています。その土地のことを知るというのがとても楽しいんです。見たことのない景色や眺め、知らない道、経験したことのない路面。今は特にグラベルバイクでのライドが気に入っています。
ライド中にコーヒーを飲んだりとか。気温は25℃くらいで風がないといいですね。一緒に走る仲間、特にティファニーがいると最高です。ライド後はStravaにデータをアップロードして、くつろぎながらログを見ます。そして最後にビールがあれば、もう言うことはないですね。
Canyonがバルテリ・ボッタス限定モデルのGrail CFRをリリースしました。これについてはいかがですか?
心の底からうれしいですね。グラベルが大好きで、Grailにはライドやレースで何百時間も乗っています。Canyonのチームと協力し、しっかりと腰を据えて、私のレースに対する思いを詰め込んだバイクを作り上げました。ディスコをイメージした塗装も楽しげでいいと思いませんか? 本当に楽しかった。レースに対しては真剣ですが、ゆるく楽しむのも好きなんです。それが私の個性の一部となっているのです。このバイクにはそんなエッセンスが込められています。自分の個性が詰まった機材でだれかがライドを楽しんだりレースを走ったりしていると聞くと、とてもうれしいですね。
ベルギーで開催されたグラベル世界選手権はどうでしたか?
正直なところ、グラベル世界選手権のスタートラインに立ったときは、F1に乗り始めたばかりの頃よりも緊張しましたよ。自分の限界に挑戦したいと思いました。無事に完走したいとも思いました。そして何よりも、レースのすべてを楽しみたいと思いました。しかし、182kmという距離をバイクで走り切るのはあまりにも過酷だということもわかっていました。大変な一日になるだろうということはわかっていたし、実際に大変でした。
出走者の数はかなり多く、序盤はシングルトラックの入口で渋滞が起こりました。そしてあと5kmでフィニッシュというところでパンクして、修理しなければなりませんでした。このレースを走りきれて非常に幸せでしたし、コースサイドのファンのみんなから支えてもらって最高でした。夢を見ていたかのようです。
グラベルバイク
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